陰謀、冤罪説も飛び出す 強制わいせつ容疑で逮捕のNHK森本アナ
J-CASTニュース 11月16日(金)18時33分配信
NHKアナウンサーの森本健成(たけしげ)容疑者(47)が2012年11月14日夜、電車内の痴漢行為で警視庁玉川署に現行犯逮捕されたニュースは多くの視聴者を驚かせた。
週末の「おはよう日本」に加え、「クローズアップ現代」のキャスターも担当する森本容疑者は「NHKの顔」の1人。事件は同僚たちと飲食店で別れてから2~3時間後、現場は自宅とは逆方向の電車内だった――いったい何が起きていたのか。
■「犯行は悪質」として強制わいせつ罪適用
「痴漢です!」
東急田園都市線の渋谷―二子玉川間を走行中の電車内で女子大生(23)が大声を上げたのは11月14日午後7時55分ごろ。終点の二子玉川駅に到着する直前だった。
女子大生は向き合っていた森本容疑者の右手をつかむと、ただならぬ様子に気づいた周囲の男性客が同容疑を後ろから押さえ込んだという。二子玉川駅に到着すると、森本容疑者の身柄は駅員に引き渡され、間もなく駆けつけた玉川署員に逮捕された。
警視庁では通常、痴漢犯罪は「迷惑防止条例」違反で検挙する。ただ、悪質なケースは刑法の「強制わいせつ罪」を適用し、下着に手を入れて約10分間胸を触ったとされる今回の犯行は悪質、との判断から同容疑での逮捕だったという。
新聞報道などによると、森本容疑者は14日、昼過ぎに仕事を終え、NHKの同僚と渋谷区内の2軒で夕方まで飲食。犯行当時も酒に酔った状態で、同署の調べに対し「電車に乗って帰宅する途中だった。女性の体を触った覚えはない」と容疑を否認していたという。
だが、森本容疑者の自宅は千葉県浦安市で、東急田園都市線の二子玉川方面は全くの逆方向に当たる。「(渋谷駅で)乗り間違ったかもしれない」と供述したとされるが、パトカーで同署に連行された際の森本容疑者は深酒の状態ではなかったという。
知的で温厚でさわやか、天気予報を報じるために気象予報士の資格を得るなど仕事熱心だった森本容疑者はなぜ、こんな犯行に及んだのか。同僚と飲食後、逮捕までの「空白の2~3時間」は何をしていたのか。なぜ自宅とは逆方向の電車に乗ったのか。
謎が謎を呼び込んで、ニュースが報道された11月15日午前以降、ネットやツイッターには陰謀説やら冤罪説やらさまざまな見方が飛び交った。
■森本容疑者「大変なことをした」
「冬間近で女子大生は厚着だったはず。下着の中に手を入れて胸を触ることは不可能だ」
「森本アナはNHKスペシャル『原発事故調最終報告~解明された謎 残された課題~』を担当していた。上層部には邪魔な存在だった」
「言いたいことを率直に言う目障りな森本アナを辞めさせるには事件を起こすことが一番だった」
陰謀説や冤罪説を唱える主な意見はこんな内容だった。
また、自宅と逆方向の電車内での痴漢行為による逮捕というパターンが、某経済評論家が2006年に迷惑防止条例違反で逮捕=最高裁で懲役4か月確定後に収監=された事例と酷似していることから、某経済評論家の冤罪を確信しているネットユーザーの中には二つの事件を結びつけて「国家権力」の陰謀説を展開する人もいた。
報道によると、森本容疑者は玉川署の調べに容疑を否認する一方、「大変なことをした。これからどうなるんだろう」と供述したというが、東京地検の調べに対し容疑を認めたことから11月16日午後、処分保留で保釈されたという。
同容疑者がキャスターの「おはよう日本」では、2007年にも中継担当の男性アナが昼酒の末に泥酔状態で歩行中の女性に抱きつき、強制わいせつの疑いで逮捕。その後不起訴となったものの、停職3か月の処分を受けている。